2006-12-23 『凍りのくじら』感想 読書 凍りのくじら (講談社ノベルス)作者: 辻村深月出版社/メーカー: 講談社発売日: 2005/11/08メディア: 新書 クリック: 52回この商品を含むブログ (168件) を見る辻村深月作品を読むのは、これがはじめて。正直、期待していなかったのですが、これが抜群に面白い。主人公が回想する過去のエピソードがどれも秀逸だし、登場人物の機微、人間の悪意の描き方もうまい。中でも白眉は、主人公がプレゼントされたドラえもんの巾着をなくしてしまうシーン。そのあとXXの死をあっさり描いているのだが、その対比に唸らされた。 ミステリ部分はたいしたことはなく、正直なくてもよかったと思う。版元の要請があったのかもしれないが、これだけ「小説」が書けるのだから、無理にミステリにとどまる必要もないと思う。 何はともあれ、読み続けたいと思える作家だ。あー、ドラえもんが読みたくなってきた。