『東大生はAV男優』感想

東大生はAV男優 (eyeシリーズ)

東大生はAV男優 (eyeシリーズ)

タイトルどおり、東大生がAV男優になる話。
まず、文章が小学生の作文並みなのに辟易する。
視点はずれるし、場面転換は急だし、描写は不足。
本書の半分近くは筆者の幼少期を描くところに費やされている。これがまたつまらない。なにせオチのない思い出話をただ羅列しているだけなのだから。また、童貞喪失失敗の話は書いているのに、結局のところ童貞喪失がいつなのかは描かれていない。学生時代の部活の話なんかよりそっちの方がまだ読み応えがあると思うのだが。正直読み続けるのも苦痛だった。
さらに問題点なのは、時代背景の描写が一切ないので、いつごろの話なのかもさっぱりわからない点だ。AVの現場の話も一本目はこうでした、二本目はこうでしたと書き連ねているだけ。本当に小学生の作文のようだ。
校正もまともにされてはいないようだ。小学校に生徒会長がいたり、先生が転校してきたりする。
そもそも、この作品は自伝なのかエッセイなのか私小説なのかオートフィクションなのかも判然としない。作者の名前は黒川大樹だが、作中人物の名前は黒川龍一。名前を変えることにどんな意味があるのか、意図はなんなのか、さっぱり読み取れない。
これは何かの賞を受賞して出版されたらしいが、こんな愚にもつかぬ作品に賞を与えていると、その賞自体のレベルを疑われることになるのではないだろうか。
こんなに不愉快な読書をしたのは実に久しぶりだ。