『砂漠』感想

砂漠

砂漠

読書中に何度も眉をひそめ、薄笑いを浮かべ、そして読了後、興奮している自分を認識した。このような読書経験は1年のうちにもそうあるものではない。この作品は僕にとってかけがえのない1冊となった。
基本的には大学の友人たちがいろんな事件に巻き込まれる話。超能力者が登場したりと微妙に現実離れしているが、それも絶妙に料理されているため、決して物語の瑕疵にはなっていない。キャラクターの造形、台詞選び、ストーリーテリングすべて巧みで、物語の世界に引き込まれる。
『魔王』におけるマクガイバーのようにこの作品ではラモーンズとクラッシュが重要なファクターとなっている。伊坂はこういったアイテムの選び方が本当に上手いと思う。
こういうことを書くと単純だとのそしりを受けるかもしれないが、大学時代の友人に電話したくなった。