『セリヌンティウスの舟』感想

セリヌンティウスの舟 (カッパノベルス)

セリヌンティウスの舟 (カッパノベルス)

自殺した仲間の四十九日法要に集まった五人の男女。些細な疑問点から、彼らは自殺に疑問を抱くようになり・・・。


友人の死の謎を、残された仲間たちが探るというのは岡嶋二人の『そして扉が閉ざされた』を、そして友人同士がビールを飲みながら推理を闘わせるというのは西澤保彦の『麦酒の家の冒険』を髣髴させます。今作はこの2作をミックスさせたような作品と言えるでしょう。
ほとんどのシーンがマンションの一室での推理合戦なので、密室劇(会話劇)の様相を呈しています。
大抵こういったタイプの作品は中だるみしがちなのですが、今作はすっきりまとめてあるので退屈しません。かといって食い足りない感じもしません。
ただ、最後に現れる真実にやや拍子抜けさせられるのが残念。もっとロジカルなものを期待していたのですが、それは贅沢と言うものでしょうか。
まあ、結論に至るまでのプロセスは十分に読み応えのあるものだったので満足していますけれど。