『第八の日』感想

第八の日 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-6)

第八の日 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-6)

一部ネタバレ反転してます。
ハリウッドでの仕事に疲弊したエラリイは、ニューヨークへ帰る途中、クイーナンと呼ばれる集落にたどり着く。そこで神の使い手であると誤解された彼は、聖所で起こる事件に巻き込まれ・・・。


ミステリ的な部分だけを評価すると、クイーンの作品の中では高い位置にあるとは思えません。しかし、一般社会から独立した、常識の通じない世界で奮闘するエラリイの姿を楽しむことが出来ます。このテーマは現在のカルト教団を舞台にした新本格にも通じるところがあるのかもしれません。もう少し各人物の書き込みが深くなされ、独立集落に住む人々のエキセントリックさが強調されれば面白くなったかも。この作品は別作家による代作らしく、それがちょっと作品を軽くしてしまっている一因かもしれませんね。ただ、ラストは思わずにやりとしました。
それにしてもこの作品、登場人物表に真犯人の名前が記されていないのですがいいのでしょうか? まあ、エラリイを見事に騙すことに成功した教師こそが真犯人であるという趣旨なのかもしれませんが。