『時限絶命マンション』感想

時限絶命マンション

時限絶命マンション

前作『極限推理コロシアム』は散々な評価を受けていたようですが、僕はそれほど悪くはないと思っていました。ただ、2005年度版『このミス』で杉江松恋氏が「ただ作者が「解決部分こそ真骨頂」と言っているのは嘘ね。謎解きだけがつまらない」と語っていたようにラストでの脱力感は大きかったです。最後は推理というよりはあてずっぽでしたし・・・。
そして今作。期待と不安がない交ぜになった気持ちで読んだのですが・・・。ツッコミどころが多すぎて、どこから手をつけたらいいのかわかりません。まあ、一言で言ってしまえば前作よりひどいです。まずはやはり、バトルロワイアルをパクリすぎ。無理矢理殺し合いゲームに参加させられたり、冒頭に催眠ガスで眠らされたり、目が覚めたら首輪をはめられてたり、それを無理矢理はずそうとしたり指定の場所から離れたりすれば爆発したりと、バトロワの設定まるパクリです。ラスト付近の話になるので言及しませんが、ストーリーの展開も同じ部分があります。いいのか? 大体、マンション内住人の殺し合いという部分だけでもバトロワを髣髴とさせるに十分なのですから、せめて細かい部分は違った見せ方をする工夫が必要だと思います。
文章は平易で読みやすいのですが(うまいわけではありません)、擬音の多用や使い古された比喩などが気になりました。あと、首輪が爆発して首と胴体が離れた人の叫び声が響くのはどうかと・・・。宇宙空間で叫び声が聞こえた『アルマゲドン』を思い出しました(笑)。
(ここからネタばれ)ラストもかなり脱力的。200億の金属塊を得るために、絶対それ以上の金額かかってますって(笑)。大体、あれだけおおがかりなことやって簡単にばれてるし。ゲームが好きだからやった、なんていいながら出来レースだし。主人公がしょっぱなで自殺したりしたらどうする気だったのでしょう? 釣り糸で人間を操るってどうやるんだ? 屋上に霧がかかっていても4階とか3階から外を見渡せるだろう? なぜ誰も外部との連携を考えない? 腹が減ったからって毛深いばかりの猿を食うか(リタイヤした部屋から何か盗んでくればいい)? 自分の所有するマンションの構造を知らないオーナーって一体・・・。(ネタばれここまで)
etc・・・。ツッコミどころには事欠かない作品です。はい。