『絢爛たる殺人』

芦辺拓編集のアンソロジー。そのマニアックさ、希少さは価値高い。以下、各作品にミニコメ。
「ミディアンの井戸の七人の娘」岡村祐輔
衒学趣味に満ちた作品。解説でも触れられているとおり、たしかに『黒死館殺人事件』を髣髴させる。その独特の雰囲気が楽しめる。
「むかで横丁」宮原龍雄、須田刀太郎、山沢晴雄
リレー小説。前二人のとんでもない展開を、見事に論理的に纏め上げた山沢晴雄の手腕が見事。
「二つの遺書」坪田宏
密室トリックはあるものの、本格というよりは、サスペンス色が強い作品。読者を作中に引き込む文章力がある。
「ニッポン・海鷹」宮原龍雄
文章がやや読みにくいが、密室トリック、巨大船の消失など、盛りだくさんで楽しめた。
「風魔」鷲尾三郎
バカミス。このトリックにはちょっと唖然とさせられた。作中のギャグはやや上滑りしているけれど。