『黄金色の祈り』

黄金色の祈り 文春文庫

黄金色の祈り 文春文庫

主人公の中学時代から作家として活動するまでを描いた、大河ミステリ。西澤ミステリによく見られる徹底的なまでの論理のスクラップ・アンド・ビルドはこの作品では見られない。それよりも叙情面が前面に出されているため、物語の世界には入り込みやすい。ラストの情景も余韻を残す。西澤保彦という作家の、幅の広さをあらわす作品だといえる。