『亜愛一郎の転倒』感想
- 作者: 泡坂妻夫
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1997/06/21
- メディア: 文庫
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「藁の猫」
なぜ画家は、わざと自分の絵の中に町がいを描いたのか? という謎が、非常に論理的で納得のいく形で解決されます。
「砂蛾家の消失」
館消失モノ。大トリックだけれど無理はなく、しかも細かい点にまで気を配られているところに好感が持てます。
「珠洲子の装い」
チェスタトン張りの逆説がさえる一編。
「意外な遺骸」
童謡殺人モノ。「あんだがさどこさ」が扱われているのが熊本人としてはうれしいw
「ねじれた帽子」
これだけは集中でやや劣る印象を受けました。とってつけたような論理展開が気になります。
「争う四巨頭」
日常の謎系。読了後にはさわやかさが残ります。
「三郎町路上」
死体消失ならぬ死体出現モノ。どう考えても不可能な状況で、タクシーの中に死体が現れます。犯行にやや行き当たりばったり感はありますが、大きな瑕疵とはなっていません。面白いです。
「病人に刃物」
誰も刃物を持っていない状況で、突然男が刺し傷を負って・・・。
これも発想の転換が面白い作品。楽しませていただきました。