『未完成』感想

未完成 (講談社ノベルス)

未完成 (講談社ノベルス)

孤島の自衛隊基地で発生した小銃紛失事件、という非常に地味な題材でありながらも自衛隊という特殊な環境が緻密に描かれているため、その異常性、不可能性が強く印象付けられます。
日本の自衛隊がはらむ矛盾や、自衛隊員ならではのキャラクターが事件に深く関わっているところからして、自衛隊を舞台にしているがゆえに成立しえた本格ミステリといえるでしょう。
硬質で堅実な作品でした。