『禁じられた死体の世界』感想

東京大学解剖学研究室に籍を置いていた著者が死体について語った1冊。本の中で著者は何度も「死体は怖くない」と繰り返す。死体は日常的に存在しているもので、隠されている今の状況の方がおかしい、というのだ。その通りと素直に首肯する気にはなれないものの、一理ある意見だと思う。少なくともこの1冊で、死体に対するイメージを多少修正させられた。
また、解剖学教室の様子やエンバーミングの過程などがこと細かく描かれているのも興味深い。死体の図版も盛りだくさんで、見ごたえ十分。カラーでないのがなんとも残念だったが。