『ささらさや』

ささらさや (幻冬舎文庫)

ささらさや (幻冬舎文庫)

ドラマ『てるてるあした』にはこちらも組み込まれているそうなので読んでみました。えっとこれ傑作です。以下各作品にミニコメ。
「トランジット・パッセンジャー
骨壷消失というミステリ的なところはあるものの、かなり軽め。まあ、設定紹介を兼ねたプロローグと言うべきでしょう。
羅針盤のない船」
この「見えない人」トリックは(かなり強引ながらも)すごいです。感心しました。
「笹の宿」
不意に泊まることになった宿で起こる謎。伏線の張り方が絶妙な作品。
「空っぽの箱」
空の箱を巡る謎はすぐに見当のつくものでしたが、おばあさん三人の掛け合いがとても楽しい作品です。
「ダイヤモンドキッズ」
「誘拐されたのは誰?」とでも名づけたい作品。そういや加納朋子氏のパートナーは貫井徳郎氏ですしねw 涙を誘う部分もあり、集中これがもっとも気に入りました。
「待っている女」
ラストはやや甘々な印象がぬぐえませんが、とても心が落ち着く作品です。
「ささら さや」
これはかなりハラハラさせられる作品。こんなにページをめくる手がもどかしかったのは久しぶりです。いい!
「トワイライト・メッセンジャー
エピローグ的作品。涙なしには読めません。いや、ほんとに。


ミステリ的部分もさることながら、この作品の魅力はキャラクターたちにあるでしょう。それぞれの掛け合いが楽しくて仕方ありません。また、さやとその息子ユウスケの成長を眺めることが出来るのがうれしいです。育児に関する知識も豊富。おそらく加納氏の実体験も組み込まれているのではないでしょうか。現在育児中、もしくはこれからって人はパートナーにこれを読ませると協力を得られるようになるかもしれませんよ。