『世界短編傑作集4』感想

世界短編傑作集 4 (創元推理文庫 100-4)

世界短編傑作集 4 (創元推理文庫 100-4)

以下各作品にミニコメ。
「殺人者」アーネスト・ヘミングウェイ
ヘミングウェイらしい文学的な作品といったところ。ミステリ的な面白さにつながっているかは疑問。
「三死人」イーデン・フィルポッツ
作中でも述べられているが、「こう考えればすべて納得できる」ではやはり根拠に乏しい。が、なかなか読み応えのある作品。
「スペードという男」ダシール・ハメット
いかにもハードボイルドな作品。スペードがとにかくカッコイイ。トリックは古典的だが、時代を考えると致し方ないところといえる。
「は茶め茶会の冒険」エラリー・クイーン
これだけ既読。上質なロジックが楽しめる作品。ドラマ「エラリー・クイーン」ではこの作品をうまく映像化していたことが再確認できた。
「信・望・愛」アーヴィン・S・コッブ
輸送途中に逃げだした犯罪者たちの話。彼らを待ち受ける皮肉な運命。奇妙な味が楽しめた。
「オッター・モール氏の手」トマス・バーク
スタイリッシュな文体で描かれる連続殺人モノ。サスペンスの盛り上げ方がうまく、おもわず入り込んでしまう作品。
「いかさま賭博」レスリー・チャータリス
タイトルそのままの「いかさま賭博」モノ。この手の作品が好みな僕はかなり楽しめた。ラストの切れ味も鋭い。集中、これがもっとも気に入った。
「疑惑」ドロシー・L・セイヤーズ
ラストは予想の範疇だが、後半へ向かって徐々に盛り上がっていくスリルなど、さすがにうまい。余韻を残さない終わり方もいい。
「銀の仮面」ヒュー・ウォルポール
奇妙な味の作品。ラストには薄ら寒さすら感じる。ウォルポールのほかの作品も読んでみたくなった。


傑作集の名に恥じない傑作ぞろい。特に気に入ったのは「は茶め茶会の冒険」、「信・望・愛」、「いかさま賭博」あたり。