『あきらめのよい相談者』感想

あきらめのよい相談者 (創元推理文庫)

あきらめのよい相談者 (創元推理文庫)

弁護士のぼく、剣持鷹士が遭遇する謎を友人のコーキこと女王光輝が解決するというスタイル。以下各作品にミニコメ。
「あきらめのよい相談者」
第1回創元推理短編賞。伏線の張り方がややあからさまなため、大体の見当はつきます。でも構成は面白く、楽しめました。
「規則正しいエレベーター」
なぜいつもエレベーターは2階に止まっているのか? という日常の謎。作中人物がのべているとおり、「あきらめのよい相談者」と同趣向の作品になってしまっているのが少し残念。冒頭の数学問題が面白かったです。
「詳し過ぎる陳述書」
手記の中に潜む違和感から真相を導き出す話はいくつかありますが、これはその陳述書バージョン。些細なきっかけから真相を見抜くところは感心しました。
「あきらめの悪い相談者」
被害者探しモノ。昼のニュースを見れば誰が殺されたのかわかる、というところからも遊戯的な要素が強いのですが、この作品が作中一番楽しめました。最後に明かされる「あきらめの悪い相談者」の正体に驚きます。


本格ミステリとして楽しめるだけでなく、イソ弁の実情を知ることも出来る興味深い1冊でした。