『アリア系銀河鉄道』感想

アリア系銀河鉄道 (光文社文庫)

アリア系銀河鉄道 (光文社文庫)

SFというかファンタジー的な要素を取り入れた本格ミステリの連作短編集。以下、各作品にミニコメ。
「言語と密室のコンポジション
これはなんというか、言語遊戯的な作品。密室殺人が発生するのですが、「こんなんわかるかよ」って解決が示されます。
「ノアの隣」
これは素晴らしかったです。回転できるはずのない部屋の中で、船が反対を向いていた、という魅力的な謎が、半ば強引ながらも見事に解決されます。集中、これがもっとも楽しめました。
「探偵の匣」
いわゆる「毒チョコ」的展開の作品。作中で、毒を仕掛けやすいのは酒とチョコレートと語っているのも「毒チョコ」を意識しているからでしょうか。これも楽しめたのですが、ラストのオチは余剰だったのではないかと思います。
「アリア系銀河鉄道
なんだかあまりまとまりがなくてごちゃごちゃとした印象のある作品。脱獄トリックは奇抜で楽しめました。
「アリスのドア」
うーん、これは自分がちゃんと理解できているか不明。ややわかりにくさを感じました。僕の読解力不足が原因でしょうが。


大掛かりなトリックが仕掛けられている作品もあり、なかなか楽しめたのですが、硬質な文章と衒学趣味が読みにくさを助長しているように思えました。まあ、それが特徴と言えるのかもしれませんが。