『変身』感想

変身 (角川文庫)

変身 (角川文庫)

「変身」と「ある戦いの描写」の2編収録。
「変身」
朝目覚めると巨大な虫に変身していたグレゴールと、彼を取り巻く家族の物語。
これは学生時代に読んでいたつもりだったのですが、よく思い出してみるとそのときは最初の方で挫折しているので、実質初読。結構エンターテインメントしているのが意外でした。文章も読みやすいです。虫としての悲哀と、人々の心の変化が緻密に描かれています。ラストのさりげなさも良かったです。
「ある戦いの描写」
非常にとらえどころのない作品。うまく把握できないまま物語が進むのですが、それが不快ではないところがいいです。つげ義春の「ねじ式」のような作品といえばいいでしょうか(内容はまったく違いますが)。酩酊感を味わうことが出来る一作です。