『カーの復讐』感想
- 作者: 二階堂黎人
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/11/25
- メディア: 単行本
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二階堂黎人氏がフランスの古本屋で見つけた本を翻訳したという体裁の本。巻末に『(古本屋で見つけたという本は)実在しません』と書いてあるところがなんとも・・・。穢れを知らない少年少女が信じ込むことを恐れたのでしょうか?
で内容ですが、密室殺人あり、暗号あり、活劇ありでミステリーランドとしてはかなり正しいかたちの本です。こういうの小学生くらいに読んだら面白かったかも、といった感じ。
ただ、大人の目から見るとややつらい点もあります。カーの某作のアレンジともいえる密室トリックは面白いのですが、犯人や金の隠し場所はかなりバレバレ。なにせ、襲撃されたにもかかわらず生き残っている人間は、その人間自身が犯人というミステリにありがちなパターンだし、隠し場所は伏線がバレバレだし。まあ、それがフェアともいえるでしょうけれど。
あと気になった点は、犯人はアンリエット夫人の首をナイフで掻っ切ったあと、隣のゼローム男爵の部屋に行ったそうですが返り血は浴びなかったのでしょうか? それにあらかじめ自分の左手を傷つけていたということなのですが、そんなにはやめに傷つけたら、見つかったときにはもう乾燥していると思うのですが・・・。
まあともかく、ジュブナイルとしては面白いです。あと、喜国雅彦氏の挿画もいいですよ。