『模倣の殺意』感想
- 作者: 中町信
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2004/08/13
- メディア: 文庫
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二人の登場人物の視点が交互に入れ替わるという構成からも、メインのトリックには早い段階で気づくことが出来ます。しかし、それは現在の新本格作品を多数読んでいるからであって、この作品が30年以上前にかかれたものであることを考えると、画期的だったのであろうと思います。
メインのトリックばかりに目が奪われがちですが、伏線がしっかり張ってあるところにも好感が持てます。また、弟子が師匠の作品を盗作した、というところから、実は師匠の方が弟子の作品を盗作していた、という流れは想像できたのですが、そこからさらに実は別の人物から師匠も弟子も盗作していた、と転がすところには感心しました。
難があるとすれば、偶然の出来事からヒントを獲得する都合のいいシーンが多いところですが、まあ、それもご愛嬌でしょう。
とにかく読んで損はない作品です。こりゃ、他の作品も読んでいかなきゃですねえ。