『世界傑作短編集2』感想

世界短編傑作集 2 (創元推理文庫 100-2)

世界短編傑作集 2 (創元推理文庫 100-2)

安心して読めるアンソロジー北村薫氏の帯によると、基本図書中の基本図書らしいです。すみませんね、基本図書も読んでいなくて。以下各作品にミニコメ。


「赤い絹の肩かけ」 モーリス・ルブラン
リュパンのダーティヒーローぶりが存分に楽しめる作品。振り回される警部には同情を禁じえません。
「奇妙な跡」 バルドゥイン・グロレラー
短いながらも切れ味鋭いトリックが決まっています。新本格作家の作品の中に似たようなトリックを使った作品がありました。
「ズームドルフ事件」 M・D・ポースト
この作品だけ既読でした。密室殺人モノの傑作。
「オスカー・ブロズキー事件」 オースチン・フリーマン
ソーンダイク博士モノ。ちいさな手がかりを丁寧に拾っていく過程がとてもおもしろいです。
「ギルバート・マレル卿の絵」 V・L・ホワイトチャーチ
貨車消失事件を扱った作品。ちょっと無理があるかな? と思わないでもないですが、大掛かりなトリックは好みです。
「好打」 E・C・ベントリー
トリック云々よりも最後の余韻が印象に残る作品でした。
「ブルックベンド荘の悲劇」 アーネスト・ブラマ
マックス・カラドスシリーズ。真相へたどり着くまでのプロセスが楽しめる作品です。
「急行列車内の謎」 F・W・クロフツ
すみません、おでのピンク色の脳細胞では何度読んでもこのトリックを理解することはできませんでした。
「窓のふくろう」 G・D・H&M・Iコール
密室殺人モノ。さほど驚く作品ではないですが、堅実に作られた佳品だと思います。


個人的に気に入ったのは、「ズームドルフ事件」「オスカー・ブロズキー事件」、「ギルバート・マレル卿の絵」の3作。堪能させていただきました。