『シャム双生児の秘密』感想

シャム双生児の秘密 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ク 3-17)

シャム双生児の秘密 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ク 3-17)

山火事から逃れるためにクイーン親子が行き着いた一軒家。その屋敷の主人ザヴィヤー博士が何者かに殺害された・・・。
クイーンにしては珍しいクローズド・サークルもの。被害者が握り締めていたトランプが重要な位置を占めるアイテムとなり、それを中心に論理が構成されます。いわゆるダイイングメッセージものと言っていいと思いますが、後期の一部の作品のように一足飛びに解決したりはしないので、その分論理が二転三転し、読み応えがあります。時間の経過とともに屋敷に山火事が迫ってくるところなんかは、タイムリミットサスペンス並みのスリルを味わえます。個性的なキャラクターが揃っているところもいいです。ロジックと物語性が上手く絡み合った傑作と言えるのではないでしょうか。