2005-07-21 『木曜組曲』感想 読書 木曜組曲 (徳間文庫)作者: 恩田陸出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2002/09/01メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 180回この商品を含むブログ (59件) を見る過去に起こった事件について関係者が再び推理する、というのは岡嶋二人の傑作『そして扉が閉ざされた』と少し似通っているかもしれません。ただ、あちらはクローズドな空間だったのですが、こちらはとてもオープン。途中で買出しに出かけたりもします。次々と事実が明らかになり、メインとなるキャラクターもどんどん移り変わる展開はとても読み応えがありました。推理の過程も納得できるものでしたし。ただ、ラストの方はやや蛇足に過ぎるかな、という印象も受けました。まあ、これは好みの問題でしょう。 そうそう、『そして扉が閉ざされた』とは大きく違うのがもう一点。あちらの食事がひどく味気ないものだったのに対して、こちらはどれも読む者の食欲をそそるものばかりなのです。「おいしそうな新本格」としては北森鴻氏の『メインディッシュ』に匹敵します。おなかがすいているときに読むのは危険な1冊です。