『プリンス・ザレスキーの事件簿』感想

プリンス・ザレスキーもの4編とモンクもの3編、そして単独作品の「推理の一問題」を収録。宗教観や文化論などのペダントリーに満ちた短編集です。『黒死館殺人事件』を彷彿とさせました。脳みそプルンな僕にとっては非常に読み進めるのが辛く、久々に挫折しそうになりました。訳者の方も相当苦労されたようで、あとがきにそれがにじみ出てます。例として一文抜き出してみると


「では、精神の偉大さとは精神性の質の偉大なる進化であり、精神性の特質は意識のうちにあって、さらに、意識とは事実の認識であるからには、精神の偉大さとは、事実を認識する偉大なる能力のうちに存在するのかね?」
(「モンク、『精神の偉大さ』を定義す」より)



こんな感じです(笑)。ノンシリーズの「推理の一問題」は比較的読みやすく、これが一番面白かったです。あと、意外に動きが多い「モンク、木霊を呼び醒す」もよかったです。