『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』感想

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ (角川文庫)

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ (角川文庫)

チェーンソー男と戦う美少女、絵里ちゃんと出会ったオレは、共に闘うことを決意する・・・。


滝本竜彦氏のデビュー作。格闘ものの要素も入っていますが、相手が何者かもわからないし、何度倒しても復活する。そして主人公はなにもせず、もっぱら闘うのは少女のほう。といった一風変わった作品。そちらに目が惹かれがちになるのですが、やはり、上質の青春小説として成立している作品だと思います。細かな日常の描写などがうまい。十分に楽しめる作品でした。
西尾維新氏は解説で「普通のボーイ・ミーツ・ガール小説ではない」みたいなこと(本が手元にないので大意)を書いていますが、果たしてそうでしょうか。これはごく正統なボーイ・ミーツ・ガール小説だと思います。橋口亮輔監督の『渚のシンドバッド』は、ゲイの男の子が主人公だというところから、そちら方面ばかりがピックアップされました。しかし監督自身は「あれは青春小説」と言い切っているのです。すこし変わった要素が入っているからといって、本質は変わりません。この小説もそうなのだと思います。ま、解説だから少し違った視点を提供しようと思ったのかもしれませんが。