『キャンティとコカコーラ』

キャンティとコカコーラ (現代教養文庫―ミステリ・ボックス)

キャンティとコカコーラ (現代教養文庫―ミステリ・ボックス)

イタリア、ヴェローナ警察の警部ロメオ・タルキーニは嫁いだ娘に会うためにアメリカ、ボストンへ。そこで殺人事件に(自ら)巻き込まれ・・・。
フランスの人気作家、エクスブラヤが描くユーモアミステリ。とにかくこのロメオ警部のキャラクターがいいです! 読んでるぶんには面白いけれど、実際近くにいたら嫌だな、というような人物です。徹頭徹尾笑いが耐えないのもよいです。ミステリ的には薄味ですが、伏線などはしっかり張ってあり、好印象をもてます。エクスブラヤのほかの作品も読みたいのですが、絶版ばかりなんですよねえ。探求する作家がまた増えました。以下、一部抜粋。
 あからさまに客を非難するには育ちがよすぎるリーコック夫妻はゲル状物体と化した。マーガレットは、まわりをメキシコ湾流にくすぐられて将来への不安いっぱいの氷山といったところだ。エルマーの目つきは、たったいま囚人に逃げられたばかりの刑務所の看守のようだ。食事はグリーンランドを思わせる空気のなかに終始した。
こんな文章を書ける人の作品が面白くないわけありません。